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2014年6月16日月曜日

Badfinger-Beatlesの陰の悲劇のバンド(3) 

ワーナーブラザーズからの2作目のアルバム ”wish you were here"は、彼らの円熟した音楽的魅力が詰め込まれた傑作アルバムだったのですが、レコード会社とのトラブルにより、あまり日の目を見ることなく店頭から消え去りました。ワーナーとの契約でアルバム制作のノルマが課せられていたこともあり、前作の発売後まもなく、次作アルバム"Head first"を短期間で完成させましたが、レコード会社に発売を拒絶されました。 マネージャーがアルバム制作費としての支度金を横領した疑いがもたれたため、ワーナーは、"Badfinger"に関する商品の販売、発売を一切中止して、マネージャーとバンドに対して、訴訟を起こしました。1975年初頭には彼らのレコードは店頭から全て姿を消しました。

マネージャーは行方をくらまし、それぞれのメンバーは収入が完全に途絶え、ガソリンスタンドでアルバイトをしたり、友人宅で居候の身となったりで路頭に迷うことになりました。中でもリーダー格のPete Hamは最後までマネージャーを信頼していたので、彼の裏切りに対するショックと怒りで激しく動揺しました。更に、恋人と生まれてくる子どものために購入した新居のローンの返済のことも追い打ちをかけました。 絶望の中、酔った勢いで、自宅のガレージで自らの手で生涯を閉じるという最悪の選択をしてしまいました。1975年4月24日、27歳でした。一か月後には恋人が女の子を出産し"Petera"と名付けました。



この事件をもってバンドは一旦、解散となりましたが、Peteの悲劇的な死から3年後の1978年にTom EvansとJoey Mollandが中心となり再結成されました。1979年にアルバム"airwaves"、1981年に"Say no more"をリリースしましたが、その後、TomとJoeyは不仲になり別々に活動し始めました。それぞれのバンドが"Badfinger"と名乗り、同じ名前のバンドが2つ存在するというややこしい事になりました。1983年の秋頃、二人の対立は名曲"Without you"の印税をめぐって激化しました。それに加えて他のトラブルも抱え込んでいたTomは、精神的に不安定となり、2番目の悲劇の人となりました。1983年11月19日、自宅の裏庭で自ら命を絶ちました。36歳、妻と息子が遺されました。








90年代に入り廃盤となっていたオリジナルアルバムが次々とCD化されて再発売されるまでは、普通のレコード店で彼らのレコードはほとんど見かけることはありませんでした。90年代の初頭に、アップルとワーナーの作品が次々とCD化され、"Badfinger"の音楽が再び市場に帰ってきました。95年には、アップル時代の懐かしい曲を集めたベストアルバムも発売されました。97年には、75年に亡くなったPete Hamのソロアルバム"7Park avenue"がリリースされて,CDショップで見つけた時は驚きました。Peteの10代の頃の下積み時代から晩年までの自宅でのデモ録音の作品を集めたアルバムで、言葉で言い表せない胸に迫るものがありました。99年には、第2弾ソロアルバム"Golders Green"が発売されました。













1990年代に入り廃盤となっていたオリジナルアルバムがLPレコードからコンパクトディスクとして次々と復刻され、ベストアルバムもいくつか発売されました。この復活は、リアルタイムで聞いた世代に、長く連絡の途絶えていた旧友との再会のような感動的な懐かしさを与えてくれました。一部の熱心なファンを除き、一般に”B級バンド”、”悲劇のバンド”としか評価されず、洋楽ファン、ロックファンの記憶から永く忘れ去られていましたが、アルバム復刻がきっかけとなり再評価の波が起こり、”パワーポップの元祖”とまで評価されました。それに伴い、新たに多くの若いファンも獲得しました。

2005年10月にオリジナルメンバーのMike Gibbinsが突然死により他界しましたが、唯一健在のオリジナルメンバー"Joey Molland"は現在も自身のバンドを”Badfinger"と名乗り活動しています。Pete, Tom, Joey, Mikeの黄金期の4人のメンバー揃っての復活は今となっては不可能ですが、彼らの親しみやすく瑞々しいポップセンス、哀愁を帯びたメロディーはこれからも永く残ることでしょう。多くのアーティストが彼らの曲をカヴァーしています。

















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