中学生という多感な時期に"Yes"というバンドに出会い、ある時期はこのバンドにぞっこんのめり込んでしまった。日常の悩みや面倒なこともぶっ超えて、まるで異次元世界にでも連れて行ってくれるかのようなわくわく感は、それまで聞いていた物とは、異質だった。当初は、 ジョンアンダーソンやスティーヴハウ、リックウエイクマンという華やかなアーティストを際立たせる脇役のような存在としか捉えていなかっが、ジョンやリックのソロアルバムを聞く度に、Yes的な音作りを期待した私は、違和感を覚えた。 私を虜にした家に居ながらにして、宇宙空間にホップ、ステップ、ジャンプできるような感覚は、クリスならではの躍動感ある独特のベースワーク抜きでは創り出せなかったのだ。
"Yes"というバンドは、頻繁にメンバーチェンジを繰り返し、、できないとすぐメンバーを追い出すと陰口を言われる程、完璧さを追及することで有名だった。1968年のデビューから現在に至るまで、彼だけが一度もグループを脱退せす、"Yes"の全てのアルバム制作に参加した。半世紀近くの長い年月を、一つのバンドのために、彼の全生涯を捧げたと言っても過言ではないと思う。ジョンアンダーソンがバンドのリーダーだと長く思い込んでいたが、実際は、クリス抜きでは"Yes"は成り立たなかった。フレディマーキュリー抜きで”クィーン”が成り立たないように、誰も唯一無二のクリスの埋め合わせはできないと思う。彼の死によって、"Yes"というバンドは、実質的に終わってしまったように思う。そう思うと本当に淋しく残念でならない。 もっと自身の体を労わって、健康で長生きして、私達を楽しませてほしかった。 彼の遺した音楽はこれからも永遠に生き続けるだろう。 素晴らしい音楽をありがとう。長い間お疲れ様でした。ひとまず、天国でゆっくり休んで、また、退屈になったら、天国のミュージシャン達と音楽を楽しんで下さいね。